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AI規制・EU AI Act用語集|法規制の最新動向30語を経営視点で整理【2026年最新】

目次

この記事の要点

  • 【結論】 AI規制はEU AI Actを起点にグローバル化しており、日本企業にも域外適用が及ぶ。用語を経営者が理解しなければ、法務・情シスに任せた「後手対応」から抜け出せない。
  • 【重要ポイント1】 EU AI Actの4段階リスク分類(許容不可・高・限定・最小)と、日本のガイドライン・米国大統領令の主要用語を横串で整理した。
  • 【重要ポイント2】 GPAI・システミックリスク・データガバナンス義務・適合性評価など、規制固有の30語を実務言語で解説している。
  • 【重要ポイント3】 各用語には対応時期・対応主体・違反時の制裁を明示し、経営判断の材料として使える構成にした。
  • 【対象読者】 経営者、法務、CIO/CDO、CISO、グローバル事業責任者、AI委員会メンバー。

目次

  • AI規制30語の全体像
  • 【カテゴリA】EU AI Actの中核用語10語とは何か
  • 【カテゴリB】日本のAI規制・ガイドライン用語10語とは何か
  • 【カテゴリC】米国・国際的AI規制用語10語とは何か
  • 用語をマスターするための学習法は何か
  • 現場で使い分けるべき類義語の違いは何か
  • FAQ(よくある質問)
  • 参考文献・出典

AI規制30語の全体像

#カテゴリ用語一言定義
1EU AI ActEU AI ActEUのAI包括規制法(2024年発効)
2EU AI Act4段階リスク分類許容不可・高・限定・最小の分類
3EU AI Act許容不可リスクAI使用禁止される8類型
4EU AI Act高リスクAI厳格な規制対象となるAI
5EU AI Act限定リスクAI透明性義務のみ課されるAI
6EU AI Act最小リスクAI追加規制なしの一般AI
7EU AI ActGPAI汎用目的AIモデル
8EU AI ActシステミックリスクGPAI特に大規模なGPAI
9EU AI Act適合性評価高リスクAIの事前評価手続き
10EU AI Act域外適用EU域外事業者にも適用される規則
11日本AI事業者ガイドライン経産省・総務省の指針
12日本AI推進法(AI基本法)2025年成立のAI推進基本法
13日本人間中心のAI社会原則内閣府の基本原則
14日本広島AIプロセスG7で合意された国際指針
15日本個人情報保護法AI学習・利用に関わる基本法
16日本著作権法30条の4AI学習の権利制限規定
17日本AI戦略会議内閣府のAI政策会議体
18日本AI Safety InstituteAISI(AIセーフティ研究所)
19日本生成AIガイドライン業界別の生成AI指針
20日本ソフトロー方式法制化前に指針で誘導する方式
21国際Executive Order 14110バイデン大統領AI大統領令
22国際Colorado AI Act米国州法として先行するAI法
23国際NIST AI RMF米国標準のリスク管理フレーム
24国際ISO/IEC 42001AIマネジメントシステム国際規格
25国際OECD AI原則経済協力開発機構のAI指針
26国際UNESCO AI倫理勧告国連のAI倫理指針
27国際中国生成AI暫定弁法中国の生成AI規制
28国際ブレッチリー宣言AI安全性の英国主導宣言
29国際AI Safety SummitAI安全性の国際サミット
30国際域外適用(Extraterritoriality)国外事業者への法適用

【カテゴリA】EU AI Actの中核用語10語とは何か

結論: EU AI Actは4段階リスク分類を骨格とし、日本企業にも域外適用が及びます。以下、10語で規制の全体像を押さえます。

1. EU AI Act

EU AI Actとは、EUが2024年8月に発効させた世界初のAI包括規制法である。2026年8月から段階的に適用が始まり、2027年8月までに全面適用される。違反時の制裁は最大3,500万ユーロまたは全世界売上7%と極めて重い。日本企業もEU市場でAIサービスを提供する場合は対象となる。使用例:「弊社のEU向けサービスは、EU AI Actの適用リスクを2026年内に評価します」。

2. 4段階リスク分類

EU AI Actは、AIシステムを「許容不可」「高リスク」「限定リスク」「最小リスク」の4段階に分類し、それぞれ規制強度を変える方式を採用している。分類は用途・対象・影響範囲で決まる。使用例:「自社AIプロダクトを4段階リスク分類のどこに位置するか、法務と共同で棚卸しします」。

3. 許容不可リスクAI

許容不可リスクAIとは、EU AI Actで使用が全面禁止されるAIを指す。ソーシャルスコアリング、サブリミナル操作、脆弱性悪用、人種・性別による分類、リアルタイム遠隔生体識別(一部例外あり)など8類型が該当する。2025年2月から適用開始された。使用例:「弊社のマーケAIが感情操作に該当しないか、許容不可リスクAI該当性を確認します」。

4. 高リスクAI

高リスクAIとは、EU AI Actで厳格な規制対象となるAIを指す。医療機器、採用、教育、与信、警察、司法、選挙、重要インフラなど8分野の用途が該当する。適合性評価、リスク管理、データガバナンス、透明性、人間監督、記録保存などの義務が課される。使用例:「採用AIは高リスクAIに該当するため、適合性評価とCEマークが必要です」。

5. 限定リスクAI

限定リスクAIとは、透明性義務のみが課されるAIを指す。チャットボット、ディープフェイク、感情認識、生体識別などが該当する。「AIによる出力である」ことをユーザーに明示する義務がある。使用例:「弊社カスタマーサポートbotには、AI応答である旨の表示を追加しました」。

6. 最小リスクAI

最小リスクAIとは、EU AI Actで追加規制が課されない一般AIを指す。スパムフィルタ、ゲームAI、在庫最適化AIなど、リスクが低い用途が該当する。自主的なコード・オブ・コンダクトの遵守が推奨される。使用例:「社内の需要予測AIは最小リスクAI相当なので、追加規制対応は不要です」。

7. GPAI(General Purpose AI)

GPAIとは、汎用目的AIモデルを指す。GPT、Gemini、Claudeなど、特定タスクに限らず幅広く使えるモデルが該当する。EU AI Actは、GPAI提供者に技術文書作成・EUデータガバナンス遵守などの義務を課している。2025年8月から適用開始された。使用例:「自社モデルがGPAIに該当する場合、技術文書と学習データサマリを提出します」。

8. システミックリスクGPAI

システミックリスクGPAIとは、特に大規模で社会的影響が大きいGPAIを指す。学習計算量が10^25 FLOPS超のモデルが該当する(GPT-4クラス以上)。追加でモデル評価、リスク軽減、インシデント報告義務が課される。使用例:「弊社のGPAIモデルは10^25 FLOPS未満なので、システミックリスクGPAIには非該当と評価します」。

9. 適合性評価(Conformity Assessment)

適合性評価とは、高リスクAIを市場投入する前に、EU AI Actの要件を満たしているかを確認する手続きを指す。第三者機関評価と自己評価の2種類がある。CEマークの取得と、EUデータベースへの登録が伴う。使用例:「高リスクAIの適合性評価手続きに6-12か月要するため、逆算してスケジュール設計します」。

10. 域外適用(EU AI Act)

EU AI Actの域外適用とは、EU外の事業者にも規制が及ぶ規定を指す。EU域内にAIシステムを提供する場合、EU域内のユーザーが使う場合、AIの出力がEU域内で使われる場合など、広範に及ぶ。日本企業の多くが対象となる可能性がある。使用例:「弊社SaaSは欧州顧客にも提供しているため、EU AI Actの域外適用対象と評価します」。

【カテゴリB】日本のAI規制・ガイドライン用語10語とは何か

結論: 日本はソフトロー中心の指針方式ですが、2025年のAI推進法成立で法制化も進みました。

11. AI事業者ガイドライン

AI事業者ガイドラインとは、経済産業省・総務省が2024年4月に策定・公表したAI事業者向けの統合指針を指す。「開発者」「提供者」「利用者」の3類型に分けて遵守すべき事項を示している。使用例:「AIポリシー策定では、AI事業者ガイドラインの3類型の観点で自社の役割を整理しました」。

12. AI推進法(AI基本法)

AI推進法とは、2025年に日本で成立したAI関連基本法を指す。研究開発促進とリスク対応を両輪で進める枠組みを規定し、AI戦略会議・AISIの位置づけを明確化した。使用例:「AI推進法成立を受け、社内AIポリシーを国内法対応の観点で見直しました」。

13. 人間中心のAI社会原則

人間中心のAI社会原則とは、内閣府が2019年に策定した日本のAI基本原則を指す。人間中心、教育・リテラシー、プライバシー、セキュリティ、公正競争、公平性・説明責任・透明性、イノベーションの7原則で構成される。使用例:「自社AI原則は、人間中心のAI社会原則をベースに策定しました」。

14. 広島AIプロセス

広島AIプロセスとは、2023年G7広島サミットで合意された、生成AIに関する国際指針・行動規範のプロセスを指す。開発者向けの11項目からなる行動規範を含む。使用例:「グローバル展開する生成AIには、広島AIプロセスの行動規範を遵守する方針を採用します」。

15. 個人情報保護法

個人情報保護法は、AIによる個人データの学習・利用・提供に適用される日本の基本法である。3年ごと見直しの原則で改正が続き、生成AI関連の解釈が個人情報保護委員会から示されている。使用例:「顧客データを生成AIに入力する場合、個人情報保護法の第三者提供に該当しないか確認しました」。

16. 著作権法30条の4

著作権法30条の4とは、日本の著作権法において、情報解析目的での著作物利用を広く認める権利制限規定を指す。AI学習に用いる著作物の複製を原則自由とする一方、権利者の利益を不当に害する場合は例外扱いとなる。使用例:「自社モデル学習では30条の4を根拠に著作物を利用しますが、出力段階の類似度は別途チェックします」。

17. AI戦略会議

AI戦略会議とは、内閣府に設置されたAI政策の最高意思決定会議体を指す。政府のAI政策の方向性を定める。使用例:「AI戦略会議の議論を踏まえ、業界指針への影響を四半期でモニタリングします」。

18. AI Safety Institute(AISI)

AISIとは、2024年2月に日本で設立されたAIセーフティ研究所を指す。IPA配下に設置され、レッドチーミング・評価手法・ガイドライン策定を担う。使用例:「AISI公開のリスク評価手法を、自社の高リスクAI評価に取り入れました」。

19. 生成AIガイドライン(業界別)

生成AIガイドラインとは、業界団体・省庁が業種別に策定する生成AI利用の指針を指す。金融庁、教育、医療、自治体などが独自のガイドラインを公表している。使用例:「弊行の生成AI利用は、金融庁の生成AI関連指針を踏まえて設計します」。

20. ソフトロー方式

ソフトロー方式とは、法令ではなく指針・ガイドラインで事業者の行動を誘導する規制手法を指す。EUのハードロー(EU AI Act)と対比される日本の伝統的スタイルである。使用例:「日本はソフトロー中心ですが、AI推進法成立で法制化への移行も一部進みました」。

【カテゴリC】米国・国際的AI規制用語10語とは何か

結論: 米国は連邦法不在で州法先行、国際的にはISO/IEC 42001とNIST AI RMFが事実上の標準です。

21. Executive Order 14110

Executive Order 14110とは、2023年10月にバイデン大統領が署名したAIに関する包括的大統領令を指す。安全性、公平性、労働、イノベーション等の観点で各省庁に指示を下した。2025年1月のトランプ政権発足に伴い一部撤回された。使用例:「米国事業では、EO14110の影響と現政権下での変更点を継続モニタリングします」。

22. Colorado AI Act

Colorado AI Actとは、米国コロラド州で2024年5月に成立した州法を指す。高リスクAIに関する消費者保護を規定し、2026年2月に施行された。米国では州法が先行する傾向にある。使用例:「米国事業展開先の州法動向を、Colorado AI Actを起点に確認します」。

23. NIST AI RMF

NIST AI RMFとは、米国NISTが2023年1月に公開したAIリスク管理フレームワークを指す。「MAP-MEASURE-MANAGE-GOVERN」の4機能で構成される。米国政府調達で参照義務化されるなど、事実上の標準となりつつある。使用例:「自社AIリスク評価はNIST AI RMF準拠で実施しています」。

24. ISO/IEC 42001

ISO/IEC 42001とは、2023年12月に発行されたAIマネジメントシステムの国際規格を指す。ISO 27001(情報セキュリティ)と類似の管理体系を規定する。第三者認証取得も可能である。使用例:「グローバル展開の信頼性確保のため、ISO/IEC 42001認証取得を検討します」。

25. OECD AI原則

OECD AI原則とは、OECDが2019年に採択したAIに関する国際指針を指す。42か国が採択し、日本のAI社会原則の基盤にもなっている。2024年に生成AI対応の改訂が行われた。使用例:「弊社AIポリシーの上位原則として、OECD AI原則を引用しています」。

26. UNESCO AI倫理勧告

UNESCO AI倫理勧告とは、2021年に国連教育科学文化機関が採択したAI倫理に関する国際勧告を指す。193加盟国が採択し、人権重視の視点を強調する。使用例:「途上国事業では、UNESCO AI倫理勧告への配慮を明示します」。

27. 中国生成AI暫定弁法

中国生成AI暫定弁法とは、2023年8月に施行された中国の生成AIサービス管理法規を指す。生成AIサービスの事前届出、コンテンツフィルタリング、社会主義核心価値観準拠などを義務付ける。使用例:「中国向け生成AIサービスは、暫定弁法の届出要件を確認します」。

28. ブレッチリー宣言

ブレッチリー宣言とは、2023年11月に英国主導で開催されたAI Safety Summitで28カ国が採択した宣言を指す。フロンティアAIの安全性に関する国際協調を打ち出した。使用例:「フロンティアAI開発では、ブレッチリー宣言の趣旨を踏まえて評価を実施します」。

29. AI Safety Summit

AI Safety Summitとは、AI安全性に関する国際サミットを指す。2023年英国(ブレッチリー・パーク)、2024年韓国、2025年フランス(AI Action Summit)と継続開催されている。使用例:「AI Safety Summitの合意事項を四半期ごとに社内共有し、対応を検討します」。

30. 域外適用(Extraterritoriality)

域外適用とは、ある国の法規制が国外事業者にも及ぶ規定を指す。EU AI Act、GDPR、中国データ関連法などで採用されている。日本企業のグローバル展開時に必ず論点となる。使用例:「越境データフローとAI活用に伴う域外適用リスクを、法務と共同で棚卸ししました」。

用語をマスターするための学習法は何か

結論: AI規制の用語は「自社の展開地域と用途に照らして棚卸しする」ことで実務に落ちます。

  • 展開地域×AI用途のマトリクスに用語を当てる:EU向け採用AIなら高リスクAI+適合性評価、日本向けチャットボットなら生成AIガイドライン、といった対応関係を整理する。
  • 法務・情シスと共同勉強会を開く:30語を分担して解説することで、部門横断の共通言語が育つ。
  • 主要規制の一次資料を読む:EU AI Act本文、経産省AI事業者ガイドライン、NIST AI RMFは英語・日本語ともにPDFで公開されている。
  • 他社の対応事例を集める:Microsoft、Google、Anthropicなどのポリシー・レスポンシブルAIレポートを参照する。

現場で使い分けるべき類義語の違いは何か

類義語違い
規制 vs ガイドライン前者は法的拘束力あり、後者は指針
高リスクAI vs 許容不可リスクAI前者は規制付き利用可、後者は禁止
GPAI vs システミックリスクGPAI学習計算量10^25 FLOPSが基準
ハードロー vs ソフトロー法律/指針の違い
域外適用 vs 国際協調前者は他国事業者への強制適用、後者は自発的協調

FAQ(よくある質問)

Q1:EU AI Actは日本国内のみで事業展開する企業にも適用されますか?

A1:AIサービスをEU域内ユーザー向けに提供している、あるいはAIの出力がEU域内で使われる場合は域外適用対象となります。国内向けサービスのみで、EU域内ユーザーがアクセスできない設計であれば直接の適用対象外ですが、事業拡大時のリスクとして把握しておくべきです。

Q2:EU AI Actの適用開始時期はいつですか?

A2:段階施行で、2025年2月に許容不可リスクAI規制、2025年8月にGPAI関連、2026年8月に大部分の高リスクAI規制、2027年8月に既存製品の完全適用となります。企業は自社AIの分類と対応時期を逆算して準備する必要があります。

Q3:日本のAI事業者ガイドラインには法的拘束力がありますか?

A3:ガイドライン自体には直接の法的拘束力はありませんが、個人情報保護法、著作権法、独占禁止法などの既存法令の解釈基準として機能します。金融庁・厚労省など業界規制と組み合わされることで、実質的な遵守義務が発生する場合があります。

Q4:GPAIとシステミックリスクGPAIの違いは何ですか?

A4:GPAIは汎用目的AIモデル全般を指し、システミックリスクGPAIは学習計算量が10^25 FLOPSを超える特に大規模なモデルを指します。後者にはモデル評価・敵対的テスト・重大インシデント報告など追加義務が課されます。GPT-4クラス以上が該当します。

Q5:AI規制対応は何から始めるべきですか?

A5:まず自社AIのインベントリ(棚卸し)を作り、各AIの利用地域・対象・用途を棚卸します。次にEU AI Actの4段階リスク分類にマッピングし、高リスクに該当するものから対応します。最後にAIポリシー・利用ガイドライン・AI委員会の整備で継続的統制体制を構築します。

参考文献・出典

  • 欧州連合「EU AI Act」(Regulation (EU) 2024/1689)
  • 経済産業省・総務省「AI事業者ガイドライン」(2024年)
  • 内閣府「人間中心のAI社会原則」(2019年)
  • NIST「AI Risk Management Framework 1.0」(2023年)
  • ISO/IEC 42001:2023 「AI Management System」
  • 米国「Executive Order 14110」(2023年10月)
  • G7「広島AIプロセス」(2023年)

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この記事を書いた著者

Ballista Inc. 編集部
監修:中川貴登(Ballista代表取締役)
コンサルティングファーム・IT企業のAI規制対応・AIポリシー策定支援の実務経験を元に執筆。

ConStepについて

ConStepは、AI時代の上流人材育成プラットフォームです。AI規制対応・AIガバナンス・生成AI活用をDSS準拠体系で人材育成に転用します。

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