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戦略コンサルの分析用語集:市場・競合・自社分析50語

目次

この記事の要点

  • 【結論】戦略コンサルの分析用語50語を、市場分析/競合分析/自社分析/環境分析/統合フレームの5カテゴリで体系整理しました
  • 【重要ポイント1】各用語は「〜とは、〜である」形式の定義に、提案書・報告書で即使える使用例を1つ添えて掲載
  • 【重要ポイント2】マッキンゼー・BCG・ベインの公開資料および経産省・IPAの公表データに準拠した実務水準の記述
  • 【重要ポイント3】最終章「実務活用」で目的・フェーズ・聴き手ごとの用語選択の勘どころを解説
  • 【対象読者】戦略コンサルタント/事業企画・経営企画・マーケティング責任者/新規事業リーダー

用語カテゴリ全体マップ

カテゴリ収録数代表用語主な用途
市場分析10語TAM/SAM/SOM/CAGR/セグメンテーション市場規模・成長性の定量把握
競合分析10語5フォース/戦略群/相対市場シェア業界構造と競争優位の特定
自社分析10語VRIO/コアコンピタンス/バリューチェーン内部資源と競争力の評価
環境分析10語PEST/PESTLE/SWOT/クロスSWOTマクロ環境変化の抽出
統合フレーム10語3C/4P/7S/STP/PPM戦略全体像の構造化

市場分析の主要用語10語はどう使い分けるべきか?

結論:TAM/SAM/SOMで規模を3段階に切り分け、CAGRで成長性を、セグメンテーション以下で顧客構造を語る──この基本セットを押さえます。

1. TAM(Total Addressable Market) とは、対象市場全体の理論上の最大規模である。全ての潜在顧客に浸透した場合の売上を示す。使用例:「本事業のTAMは国内で約1.2兆円と試算されます」。

2. SAM(Serviceable Available Market) とは、自社の事業モデルで対応可能な市場規模である。地理・チャネル・顧客セグメントの制約を反映する。使用例:「関東圏中堅企業に絞ったSAMは3,200億円です」。

3. SOM(Serviceable Obtainable Market) とは、現実的に獲得可能な市場規模である。競合状況と自社リソースを織り込む。使用例:「3年で獲得を目指すSOMを450億円と設定しました」。

4. CAGR(Compound Annual Growth Rate) とは、複数年にわたる年平均成長率である。市場や事業の成長性を単一指標で表す。使用例:「国内SaaS市場は2024〜2028年でCAGR約22%の成長が見込まれます」。

5. セグメンテーション とは、市場を属性やニーズで細分化する分析手法である。人口統計・行動・心理・地理などの軸で切る。使用例:「業種×従業員規模でセグメンテーションを実施」。

6. ターゲティング とは、細分化した市場から狙う顧客層を選定する意思決定である。市場魅力度と自社適合度で評価する。使用例:「収益性と勝率からIT業界の中堅層をターゲティング」。

7. ポジショニング とは、競合との差別化位置を顧客の頭の中に確立する行為である。価格軸・機能軸・体験軸で描く。使用例:「価格中位・機能上位でポジショニングを構築」。

8. 市場成熟度 とは、市場が導入期・成長期・成熟期・衰退期のどの段階にあるかを示す概念である。参入戦略の前提となる。使用例:「本市場は成熟期後半にあり、シェア防衛戦略が必要です」。

9. カニバリゼーション とは、自社製品同士が顧客を食い合う現象である。ライン拡張時のリスクとして評価する。使用例:「新プランは既存プランへのカニバリゼーション比率を10%以内で試算」。

10. カテゴリキラー とは、特定カテゴリで圧倒的な品揃え・価格・体験を持つ事業者である。専門特化型の勝ちパターンを指す。使用例:「ニトリは家具カテゴリのカテゴリキラーです」。

競合分析の主要用語10語はどう構造化されているか?

結論:5フォースで業界構造を、戦略群で近接競合を、相対市場シェアで自社ポジションを──3層で捉えるのが基本です。

11. 5フォース分析 とは、業界の収益性を規定する5つの競争要因を分析するフレームである。マイケル・ポーターが1979年に提示した。使用例:「参入障壁の低さと代替品脅威が高く、5フォース上は収益性の低い業界です」。

12. 戦略群(Strategic Group) とは、業界内で類似した戦略を採る企業群である。同一群内での競争が最も激しい。使用例:「大手SIerと専業ベンダーで戦略群を分けて競合マップを描きます」。

13. コンピーティティブポジション とは、市場での競争地位である。リーダー・チャレンジャー・フォロワー・ニッチャーの4類型で整理される。使用例:「同社はチャレンジャー地位で挑戦的な差別化戦略を採用」。

14. ベンチマーキング とは、優良企業の指標や実務を自社と比較する分析手法である。定量・定性の両面で行う。使用例:「営業生産性を上位10%企業とベンチマーキング」。

15. 相対市場シェア とは、自社シェアを最大競合シェアで除した値である。1.0を超えれば業界リーダー。使用例:「相対シェア0.6であり、リーダーとの差は明確です」。

16. 代替品脅威 とは、異なる技術・カテゴリで同じ顧客ニーズを満たす製品からの脅威である。使用例:「ECの拡大はリアル店舗にとって最大の代替品脅威です」。

17. 参入障壁 とは、新規参入を阻む構造的要因である。規模の経済・スイッチングコスト・規制・資本要件などが該当する。使用例:「認可制の参入障壁により新規参入は限定的です」。

18. 業界構造分析 とは、業界の収益性を決定する構造要因を体系的に分析することである。5フォースが代表的手法。使用例:「業界構造分析の結果、川下の交渉力が最大の論点でした」。

19. 3つの基本戦略 とは、コストリーダーシップ/差別化/集中の3つの競争戦略である。ポーター提唱。使用例:「当社は集中戦略で特定業種のシェアを狙います」。

20. 差別化優位 とは、独自価値により競合より高い価格を許容される状態である。ブランド・技術・体験が源泉。使用例:「デザイン起点の差別化優位で粗利率を業界比10ポイント高く維持」。

自社分析の主要用語10語で何を評価するのか?

結論:VRIOで資源の質を、コアコンピタンスで転用可能性を、バリューチェーンで価値の生成箇所を評価します。

21. VRIO分析 とは、経営資源をValue/Rarity/Imitability/Organizationの4基準で評価するフレームである。持続的競争優位の判定に用いる。使用例:「本アセットはVRIO全てを満たし、持続的優位の源泉です」。

22. コアコンピタンス とは、顧客に価値を届ける核となる能力であり、模倣困難で複数事業に転用可能なものである。プラハラード&ハメルが提唱。使用例:「独自の需要予測技術が同社のコアコンピタンスです」。

23. バリューチェーン分析 とは、事業を主活動と支援活動に分解し、価値生成箇所とコスト構造を可視化する手法である。ポーターが体系化。使用例:「バリューチェーン分析で物流にコスト削減余地を特定」。

24. ケイパビリティ とは、経営資源を組み合わせて価値を生む組織能力である。個人スキルではなく組織の力を指す。使用例:「短納期対応のケイパビリティが受注拡大の鍵です」。

25. 内部資源分析 とは、ヒト・モノ・カネ・情報・ブランド等の経営資源を評価する分析である。使用例:「内部資源分析で人的資本の不足がボトルネックと判明」。

26. 資源ベース理論(RBV) とは、企業の競争優位の源泉を内部の経営資源に求める理論である。ジェイ・バーニーが体系化した。使用例:「RBVの観点で自社の希少資源を棚卸し」。

27. 経営資源 とは、事業運営に用いる有形・無形の資産である。ヒト・モノ・カネ・情報・時間・信用の6要素で整理される。使用例:「経営資源を成長事業に集中投下」。

28. 経験曲線効果 とは、累積生産量が倍増するごとに単位コストが一定率下がる現象である。BCGが1960年代に体系化。使用例:「経験曲線効果を織り込み3年後の原価を試算」。

29. 規模の経済 とは、生産量拡大に伴い単位コストが下がる効果である。固定費の分散が主要因。使用例:「規模の経済によりシェアリーダーが最も収益性が高い」。

30. 範囲の経済 とは、複数事業を同時に運営することでコストを分散・共有できる効果である。使用例:「共通インフラの活用で範囲の経済を実現」。

環境分析の主要用語10語で何を捕捉するのか?

結論:PEST/PESTLEでマクロ変化を、SWOT/クロスSWOTで内外統合を、シナリオプランニングで不確実性を捕捉します。

31. PEST分析 とは、Politics/Economy/Society/Technologyの4軸でマクロ環境を分析するフレームである。使用例:「PEST分析の結果、規制緩和と技術革新が最大の追い風です」。

32. PESTLE分析 とは、PESTにLegal(法律)とEnvironment(環境)を加えた6軸分析である。ESG時代に有効。使用例:「PESTLE分析で環境規制強化を将来リスクに特定」。

33. STEEP分析 とは、Society/Technology/Economy/Environment/Politicsの5軸でマクロ環境を捉える手法である。使用例:「10年スパンの構造変化はSTEEPで整理」。

34. SWOT分析 とは、内部のStrength/Weaknessと外部のOpportunity/Threatを整理する定番フレームである。使用例:「経営会議前にSWOT分析で論点を再整理」。

35. クロスSWOT とは、SWOTの4象限を掛け合わせて戦略オプションを導出する手法である。強み×機会などで戦略仮説を作る。使用例:「クロスSWOTで機会×強みから成長領域を抽出」。

36. マクロ環境 とは、業界全体に共通して影響する外部環境である。政治・経済・社会・技術・法律・環境などを含む。使用例:「マクロ環境の変化を四半期でモニタリング」。

37. ミクロ環境 とは、自社事業に直接影響する競合・顧客・サプライヤー等の環境である。使用例:「ミクロ環境の変化として川下の統合が急速に進行」。

38. シナリオプランニング とは、不確実性が高い環境で複数の将来シナリオを描き備える手法である。ロイヤル・ダッチ・シェルが体系化。使用例:「エネルギー価格の変動でシナリオプランニングを実施」。

39. ドライバー分析 とは、市場や事業の成長要因を特定・定量化する分析である。使用例:「売上ドライバー分析で単価上昇の寄与が最大と判明」。

40. 早期警戒指標(Leading Indicator) とは、環境変化を先んじて捉えるためのリーディング指標である。使用例:「規制動向を早期警戒指標として月次で監視」。

統合フレーム10語はどのように戦略立案を支えるか?

結論:3Cで全体像を、4Pで施策設計を、PPM/GEマトリクスで投資判断を──フェーズごとに使い分けます。

41. 3C分析 とは、Customer/Competitor/Companyの3視点で事業環境を整理するフレームである。大前研一が提唱。使用例:「戦略立案の初手として3C分析で全体像を整理」。

42. 4P分析 とは、Product/Price/Place/Promotionの4要素でマーケティング施策を設計するフレームである。使用例:「新製品ローンチの4Pを整合的に設計」。

43. 7Sフレームワーク とは、Strategy/Structure/Systems/Shared values/Skills/Style/Staffの7要素で組織を分析するフレームである。マッキンゼー提唱。使用例:「変革抵抗の原因を7Sで診断」。

44. STP とは、Segmentation/Targeting/Positioningの頭字語で、マーケティング戦略立案の基本手順である。使用例:「新規事業のSTPを1週間で仮説化」。

45. アンゾフの成長マトリクス とは、既存/新規の製品×市場で成長戦略を4象限に整理するフレームである。使用例:「アンゾフで新市場開拓を最優先と判断」。

46. PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント) とは、事業を市場成長率と相対シェアで4象限に配置し投資判断する手法である。BCG提唱。使用例:「PPMで負け犬事業からの撤退を決定」。

47. ブルーオーシャン戦略 とは、競争のない未開拓市場を創造する戦略である。W.チャン・キムとレネ・モボルニュが提唱。使用例:「価値曲線の再定義でブルーオーシャンを開拓」。

48. ビジネスモデルキャンバス とは、事業を9要素で1枚に可視化するフレームである。アレックス・オスターワルダーが提唱。使用例:「新規事業のBMCを経営会議で共有」。

49. GEマトリクス とは、業界魅力度と事業競争力の2軸で事業を評価するフレームである。9象限で示す。使用例:「GEマトリクスで投資優先度を再評価」。

50. バランススコアカード(BSC) とは、財務/顧客/業務プロセス/学習成長の4視点で戦略実行を管理するフレームである。キャプラン&ノートンが提唱。使用例:「BSCで戦略実行のKPIを設計」。

これらの分析用語を実務でどう使い分けるべきか?

結論:目的・フェーズ・聴き手の3軸で用語を選び分けます。「初期仮説にはPEST/3C、深掘りには5フォース/VRIO、投資判断にはPPM/GEマトリクス」が基本形です。

用語の選び方は次の3つを意識してください。

  • 目的軸:市場規模を語るならTAM/SAM/SOM/CAGR、競争構造を語るなら5フォース/戦略群、内部強みを語るならVRIO/コアコンピタンスを選択します
  • フェーズ軸:初期仮説はPEST/3C/SWOT、深掘りは5フォース/VRIO/バリューチェーン、意思決定はPPM/GEマトリクス/アンゾフが対応します
  • 聴き手軸:経営者にはシンプルな3C/SWOT、投資家にはTAM/SAM/SOM/CAGR、実行部隊にはバリューチェーン/4Pが刺さります

提案書では「使用したフレーム=分析結果」ではなく、「フレームで整理した事実→そこから導いた示唆→示唆に基づく提言」の順で構成します。マッキンゼー・BCG・ベインの公開資料でも、フレームの図はあくまで論理を支える構造として用いられ、フレーム自体が結論として提示されることはありません。分析用語は「使ったこと」ではなく「示唆に至るための道具」として運用してください。

FAQ(よくある質問)

Q1:戦略分析の用語はどこまで覚える必要がありますか?

A1:本記事の50語を「定義・使用場面・出典」の3点で説明できれば、コンサル業界の実務水準に到達します。目安として市場分析10語、競合分析10語、自社分析10語の30語を最優先で押さえ、残り20語は必要に応じて参照する運用で十分です。

Q2:フレームワークは古いという意見をどう考えますか?

A2:フレームは「思考の型」であり、独自の示唆を出すための足場です。5フォースやVRIOは30〜40年前の理論ですが、いまも経産省の産業構造分析や上場企業の統合報告書で使われています。古いのではなく、使い方が浅いケースが多いのです。

Q3:TAM/SAM/SOMと単なる市場規模はどう違いますか?

A3:市場規模は一般語で、TAM/SAM/SOMは投資判断で用いる3段階の定量指標です。TAMは理論最大、SAMは自社モデルでの上限、SOMは3〜5年で獲れる現実値を指します。事業計画書では3つセットで提示するのが業界標準です。

Q4:PEST/PESTLEと3C/SWOTの違いは何ですか?

A4:PEST/PESTLEはマクロ環境の外部要因を洗い出す手法、3Cは市場・競合・自社の3視点で構造化する手法、SWOTは内部と外部を統合して整理する手法です。順序としてはPEST→3C→SWOTで深掘りしていくのが基本の連結パターンです。

Q5:分析用語を体系的に学ぶ最適な方法はありますか?

A5:3ステップを推奨します。(1) 用語集で定義と使用例を頭に入れる、(2) 実在企業を1社選び全50語で分析してみる、(3) 提案書または調査レポートを書き第三者レビューを受ける。ConStepではこの3ステップを体系化した「戦略分析マスター講座」を提供しています。

参考文献・出典

  • 経済産業省「デジタルスキル標準(DSS)」(2024年改訂版)
  • IPA「DX白書」(2026年版)
  • Michael E. Porter『Competitive Strategy』『Competitive Advantage』
  • Jay B. Barney『Gaining and Sustaining Competitive Advantage』
  • McKinsey & Company「Enduring Ideas: The 7-S Framework」(公開記事)
  • BCG「Perspectives: The Experience Curve」「Growth Share Matrix」(公開資料)
  • Bain & Company「Management Tools & Trends Survey」(2023年版)
  • W. Chan Kim, Renée Mauborgne『Blue Ocean Strategy』
  • Alexander Osterwalder『Business Model Generation』

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この記事を書いた著者

Ballista Inc. 編集部
監修:中川貴登(Ballista代表取締役)
※戦略コンサルティングファーム出身。国内大手企業・グローバル企業の戦略立案支援の実務経験を元に執筆・監修しています。

ConStepについて

ConStep(コアコンサル研修 ConStep)は、Ballista Inc.が提供するコンサルタント向けeラーニングプラットフォームです。戦略分析の50用語を体系的に学べる「戦略分析マスター講座」、提案書作成力が身につく「BCG型ドキュメント講座」など、AI時代の上流人材(FDE型:業務×AI×実装)の育成に特化した講座を提供しています。

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