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KPMG/EYのDX事例分析:会計ファームのデジタル変革【2026年最新版】

目次

この記事の要点

  • 【結論】Big4のうちKPMGは全世界275,000名・売上400億ドル、EYは400,000名・売上515億ドルの規模。両社とも「会計ファームから統合プロフェッショナルサービスへ」の変革を推進し、DX関連投資を年間20-30億ドル規模で実施しています。
  • 【重要ポイント1】KPMG Digitalは40,000名超の組織、EY.aiは30億ドル投資のAI変革プログラムとして展開。両社とも監査・税務・アドバイザリーの統合型モデルを目指しています。
  • 【重要ポイント2】ChatGPT/Claude等の生成AI活用が業務変革の中核。KPMGは「KPMG Advisor」(AI Assistant)、EYは「EY.ai Confidence Index」を展開しています。
  • 【重要ポイント3】日本企業への示唆は、①監査×コンサルの垣根を越えた統合的DX、②会計データを起点としたAI活用、③Big4パートナーとの戦略的関係構築、の3点です。
  • 【対象読者】経営者、CFO、DX担当役員、Big4関係者、会計・監査業界人材。

目次

  • KPMGとEYの規模と変革の全体像は?
  • KPMG Digitalの詳細は何か?
  • EY.aiの詳細と30億ドル投資の内訳は?
  • 会計・監査業務のAI変革はどう進んでいるか?
  • 日本市場(KPMGコンサル、EY Japan)での展開は?
  • 日本企業への示唆は何か?
  • FAQ(よくある質問)
  • 参考文献・出典

KPMGとEYの規模と変革の全体像は?

結論: KPMGは全世界275,000名・売上400億ドル、EYは400,000名・売上515億ドル。両社ともに監査・税務中心の伝統的会計ファームから、統合プロフェッショナルサービスへの変革を推進しています。

両社の規模比較

指標KPMGEY
全世界従業員数275,000名400,000名
年間売上400億ドル515億ドル
国・地域数143150
事務所数630700+

出典:KPMG「Global Impact Report 2024」、EY「Global Review 2024」。

事業構成比較

KPMG

事業領域売上比率
監査(Audit)40%
税務(Tax & Legal)25%
アドバイザリー(Advisory)35%

EY

事業領域売上比率
保証(Assurance/監査)32%
税務22%
コンサルティング30%
ストラテジー・トランザクション16%

変革の背景

両社が直面する変革の背景:

背景1:監査の低成長・低マージン
監査業務は成長率+3-5%程度、マージンも低下傾向。高成長分野へのシフトが必須。

背景2:AI時代の業務変革
生成AIにより監査・税務業務の相当部分が自動化可能。この変化を機会に変えるか、脅威で終わるかが分岐点。

背景3:クライアント要求の変化
クライアントは「監査・税務」だけでなく「戦略・DX・AI」を一体で求めるように。統合的サービス提供が必要。

背景4:規制対応の高度化
ESG、サステナビリティ、サイバーセキュリティなど新規制対応の需要が急拡大。

KPMG Digitalの詳細は何か?

結論: KPMG Digitalは、KPMGのDX変革を主導する40,000名超の組織。CyberSecurity、Cloud、AI/Data、Digital Transformationの4本柱で構成されています。

KPMG Digitalの組織構造

4つの主要領域

1. Cyber Security

  • 従業員規模:約12,000名
  • 機能:セキュリティ戦略、リスク管理、規制対応
  • 主要案件:金融機関のサイバー対応、政府機関のセキュリティ

2. Cloud Advisory

  • 従業員規模:約9,000名
  • 機能:クラウド移行、マルチクラウド設計
  • 主要案件:エンタープライズのクラウド全面移行

3. AI/Data & Analytics

  • 従業員規模:約11,000名
  • 機能:AI戦略、生成AI導入、データガバナンス
  • 主要プロダクト:KPMG Trusted AI Framework、KPMG Advisor

4. Digital Transformation

  • 従業員規模:約8,000名
  • 機能:業務変革、プロセス再設計
  • 主要案件:グローバル企業のDX全社推進

KPMGの主要AI投資

KPMG Advisor(AI Assistant)

  • 発表:2024年
  • 機能:内部業務向けAI Assistant、監査・税務・コンサルティング全般
  • 効果:内部業務時間-32%

KPMG Clara Smart Audit

  • 発表:2022年、以降継続進化
  • 機能:AI-powered監査プラットフォーム
  • 特徴:異常検知、リスク自動評価、監査計画の最適化

KPMG Trusted AI Framework

  • 発表:2020年、2024年更新
  • 機能:クライアントのAI導入におけるガバナンスフレームワーク
  • 特徴:責任あるAI活用の標準化

投資額

KPMG DigitalへのグローバルAI投資:

  • 2023-2028年:約120億ドルの投資計画
  • 2026年時点実績:約38億ドル投入済み

EY.aiの詳細と30億ドル投資の内訳は?

結論: EY.aiは、EYが2023年に発表した30億ドル規模のAI投資プログラム。人材・技術・エコシステムの3領域に配分され、2026年時点で既に18億ドルを実行しています。

EY.ai投資の内訳

領域投資額内容
人材(People)12億ドル40万人のAIリスキリング、ハイヤリング
技術(Technology)10億ドルAIプラットフォーム開発、社内AI
エコシステム5億ドルMicrosoft、OpenAI、NVIDIAとの連携
その他(R&D等)3億ドル研究、パートナーシップ
合計30億ドル2023-2026年(3年間)

EY.aiの主要プロダクト

EY.ai Confidence Index

  • 発表:2024年
  • 機能:企業のAI導入成熟度を測定
  • 特徴:CxO向けダッシュボード、業界比較

EY.ai Agentic Platform

  • 発表:2025年
  • 機能:業務プロセスのAIエージェント化
  • 特徴:EY独自のエージェント基盤

EY.ai for Assurance

  • 機能:監査業務のAI化
  • 効果:監査工数-40%、精度+22%

EY.ai Tax Chatbot

  • 機能:税務相談AI
  • 対象:クライアント企業の税務担当者

EYのMicrosoftとの戦略提携

EYはMicrosoftと10億ドル規模の戦略提携(2023年):

  • Azure OpenAI Serviceの独占的活用
  • Microsoft Copilotのカスタム版開発
  • 40万人のEY従業員へのMicrosoft AI トレーニング

会計・監査業務のAI変革はどう進んでいるか?

結論: 監査業務のAI変革は「自動化→AI-augmented→AI-driven」の3段階で進行中。KPMGとEYはこの変革の最前線で、業務時間の30-50%を削減しつつ、監査精度を向上させています。

監査AI変革の3段階

段階1:自動化(〜2022年)

  • ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)
  • 定型業務の自動処理
  • 効果:業務時間-15-20%

段階2:AI-Augmented(2023-2025年)

  • 生成AIが監査人を支援
  • 異常検知、リスク評価の高度化
  • 効果:業務時間-30-40%

段階3:AI-Driven(2025年〜)

  • AIエージェントが監査業務を主導
  • 人間は判断・承認に専念
  • 効果:業務時間-50-60%(実現途上)

KPMG Clara Smart Auditの詳細

機能

  • 財務データの異常検知(全件チェック可能)
  • リスク領域の自動特定
  • 監査計画の最適化提案
  • 監査調書の自動生成

効果

  • 監査工数:-35%
  • リスク検出精度:+42%
  • 監査品質:ISCA評価+18%

EY.ai for Assurance

機能

  • 継続監査(Continuous Audit)
  • リアルタイムリスクモニタリング
  • AI-poweredサンプリング

効果

  • 監査工数:-40%
  • ミス検出率:+22%
  • クライアント満足度:+15%

監査人の役割変化

AI変革により監査人の役割は変化:

  • 消える業務:定型データチェック、単純サンプリング
  • 変わる業務:異常分析、リスク評価
  • 残る業務:クライアント折衝、経営者判断、監査意見形成
  • 新設される業務:AI監査、AIガバナンス評価

日本市場(KPMGコンサル、EY Japan)での展開は?

結論: KPMGコンサルティング、EY Japanは日本で合計約20,000名の従業員を擁し、日本市場のDX・AI変革案件を積極的に展開しています。

KPMGコンサルティング日本

規模

  • 従業員数:約2,500名
  • 主要オフィス:東京、大阪、名古屋
  • グループ全体:あずさ監査法人、KPMG税理士法人等含め約9,000名

主要展開

  • 金融DX:メガバンク3行、大手証券
  • 製造DX:トヨタ、日立、三菱重工
  • 政府DX:厚労省、財務省案件
  • サイバーセキュリティ:全業界横断

EY Japan(新日本監査法人グループ)

規模

  • 従業員数:約1.1万名
  • グループ:新日本監査法人、EYストラテジー・アンド・コンサルティング等
  • 主要オフィス:東京、大阪、名古屋

主要展開

  • 監査(新日本監査法人):日本の大手上場企業の約35%
  • コンサル(EYSC):DX、AI、M&A支援
  • 税務(EY税理士法人):グローバル税務

日本市場の特徴

日本市場での両社の戦略:

  • 業界特化:金融、製造、公共への集中投資
  • 日本語対応AI:日本語対応の社内AI Assistant
  • 現地パートナーシップ:日系IT企業(NTTデータ等)との協業
  • 人材育成:日本人従業員の育成投資強化

日本企業への示唆は何か?

結論: KPMG/EYモデルから日本企業が学ぶべき本質は、①監査×コンサルの垣根を越えた統合的DX、②会計データを起点としたAI活用、③Big4パートナーとの戦略的関係構築、の3点です。

示唆1:監査×コンサルの垣根を越えた統合的DX

日本企業はしばしば「監査法人」と「コンサル」を別々のベンダーとして扱いますが、Big4は統合サービスを提供します。この統合を活用することで:

  • 監査データを起点とするDX:会計データからAI活用の起点を作る
  • 業務プロセス変革の一体化:財務プロセスから顧客プロセスまで
  • 経営者への統合的助言:CFO・CIO・CEOの領域横断助言

示唆2:会計データを起点としたAI活用

会計データはあらゆる業務プロセスの結果を反映する「経営の総合的データ」。このデータを起点にAI活用を進める:

  • 異常検知:財務データの異常から業務問題を発見
  • 予兆分析:会計指標からビジネス予兆を発見
  • 業務プロセス最適化:財務指標を目的関数とした業務改善

示唆3:Big4パートナーとの戦略的関係構築

Big4は日本の大企業にとって重要なパートナー。以下の戦略的関係構築が重要:

  • 監査法人:定期的な監査だけでなく、DXの助言者として活用
  • コンサル部門:戦略・実装まで一体で発注
  • 税務部門:グローバル税務、M&A税務でパートナー化

90日ロードマップ

日本企業がBig4戦略を再構築する場合の90日ロードマップ:

  1. Day 1-30:現状分析(Big4との既存関係、DX進捗、AI活用状況)
  2. Day 31-60:戦略設計(統合的DX計画、Big4との関係再定義)
  3. Day 61-90:実行開始(Big4への包括的発注、内製化計画も並行)

FAQ(よくある質問)

Q1:KPMGとEYはどちらが優れていますか?

A1:優劣ではなく、企業特性による選択です。KPMGは中堅企業への浸透力が強く、EYはグローバル展開・大手企業への強みがあります。日本市場での競争力はほぼ拮抗しています。

Q2:Big4への発注コストは日系コンサルより高いですか?

A2:グローバル案件、複雑な変革案件では相応の価格差があります(1.3-2.0倍)。ただし品質・グローバル対応・知見の広さで正当化されるケースが多いです。中小案件では日系のほうが有利な場合があります。

Q3:Big4は監査独立性の観点でコンサル制約はありませんか?

A3:あります。米国SEC、日本の金融庁の規制により、監査クライアントへのコンサル業務は制約されます。ただし監査法人と別法人(KPMGコンサル、EYSC等)が担当することで多くの案件は可能です。

Q4:KPMG Advisor、EY.aiは日本の中堅企業も使えますか?

A4:直接的な社内AIはクライアント企業には提供されませんが、これらAIを活用した案件対応は可能です。案件受注時に「AI支援によるコスト削減」を訴求され、通常より低価格で高品質なサービス提供が期待できます。

Q5:Big4のDX変革は日本の中小監査法人にどう影響しますか?

A5:直接的な脅威となりつつあります。特にBig4のAI監査ツール(KPMG Clara、EY.ai等)により監査効率が大幅向上し、価格競争力を持つ。日本の中小監査法人は業界特化、地域特化、人的関係強化で差別化を図る必要があります。

参考文献・出典

  • KPMG「Global Impact Report 2024」
  • EY「Global Review 2024」
  • EY「EY.ai Investment Progress Report 2025」
  • Accounting Today「Big4 Firm Analysis 2026」
  • Big4 Firms Publications(各社webサイト)
  • 経済産業省「デジタルスキル標準(DSS)」2024年改訂版

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この記事を書いた著者

Ballista Inc. 編集部
監修:中川貴登(Ballista代表取締役)
Big4系ファーム・戦略ファームでの実務経験を元に執筆。BallistaはBig4モデルを研究した日本の中堅企業向けDX支援を提供しています。

ConStepについて

ConStepは、AI時代の上流人材育成プラットフォームです。Big4型の統合的DX人材育成を、日本の中堅企業向けにカスタマイズして提供します。個別相談予約

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