この記事の要点
- 【結論】コンサル業界で使われる主要40フレームワークは、戦略・組織・マーケ・分析の4系統で整理でき、それぞれの「使うべき場面」を理解すれば経営会議のアウトプット品質向上が期待できる。
- 【重要ポイント1】戦略系10(3C・5F・SWOT・PPM・バリューチェーン等)は市場理解に必須。マッキンゼー・BCG・ベインで日常使用。
- 【重要ポイント2】フレームワークは「思考の型」であり、機械的適用は逆効果。「何のイシューに答えるか」を先に決めるのが鉄則。
- 【重要ポイント3】40のうち、10-15を深く使いこなせば実務は回る。まずTop5(3C・5F・SWOT・7S・KPIツリー)を完全習得すること。
- 【対象読者】コンサル転職検討者/若手コンサルタント/事業会社の経営企画・DX推進担当者。
目次
- 戦略系10フレームワークをどう使うか?
- 組織系10フレームワークとは何か?
- マーケティング系10フレームワークは何か?
- 分析系10フレームワークをどう使い分けるか?
- 40フレームの使い分けの原則は何か?
- 実務でどう適用するか?
- FAQ(よくある質問)
戦略系10フレームワークをどう使うか?
結論:戦略系フレームワークとは、市場・競合・自社の分析と、事業ポートフォリオ設計に用いる10種であり、Michael Porter・大前研一・BCGなどが体系化した経営分析の共通言語である。
| # | フレーム | 定義と使用場面 |
|---|---|---|
| 1 | 3C分析 | 3C分析とは、Customer・Competitor・Companyで事業環境を整理する枠組み。大前研一が提唱。新事業立案の初手で使用。 |
| 2 | 5フォース分析 | 5フォース分析とは、Porterが提唱した業界構造分析。買い手・売り手・新規参入・代替・既存の5つの脅威で業界魅力度を評価する。 |
| 3 | SWOT分析 | SWOT分析とは、内部要因(S/W)と外部要因(O/T)を整理する分析手法。単独ではなくクロスSWOTで示唆を出すのが実務。 |
| 4 | PPM(BCG matrix) | PPMとは、市場成長率×相対市場シェアで事業を花形・金のなる木・問題児・負け犬に分類。BCGが1970年代に提唱。 |
| 5 | バリューチェーン | バリューチェーンとは、主活動と支援活動で価値創出プロセスを可視化する枠組み。Porter提唱。競争優位の源泉特定に使う。 |
| 6 | アンゾフの成長マトリクス | アンゾフとは、市場×製品の新規/既存で4象限に分ける成長戦略フレーム。市場浸透・新市場開拓・新製品開発・多角化。 |
| 7 | STP | STPとは、Segmentation・Targeting・Positioningの3段階でマーケ戦略を設計する手法。Philip Kotlerが体系化。 |
| 8 | VRIO分析 | VRIO分析とは、Value・Rarity・Imitability・Organizationで経営資源の競争優位性を評価する。J. Barney提唱。 |
| 9 | PEST分析 | PEST分析とは、Political・Economic・Social・Technologicalで外部環境を4視点で整理する枠組み。 |
| 10 | ブルーオーシャン戦略 | ブルーオーシャンとは、W. Chan Kim提唱の「競争のない市場」戦略。ERRC(減らす・除く・増やす・付加する)が中核。 |
使用例:「新規事業の実現性評価では、まずPESTで外部環境、5Fで業界魅力度、3Cで自社ポジションを整理。次にSTPで狙う層を特定し、VRIOで参入根拠を検証する。」
戦略系は「外部環境→業界→自社」の順で組み合わせるのが定石です。SWOTは単独では弱く、他フレームで洗い出した要素の統合表として使うのが実務での正しい位置づけです。
組織系10フレームワークとは何か?
結論:組織系フレームワークとは、組織構造・人材・カルチャー・変革を扱う10種であり、マッキンゼー7S・Kotter8ステップなどが古典として今も現役で使われる。
| # | フレーム | 定義と使用場面 |
|---|---|---|
| 1 | マッキンゼー7S | 7Sとは、Strategy・Structure・Systems・Shared Values・Skills・Style・Staffで組織を7要素で診断する枠組み。 |
| 2 | Kotter 8ステップ | Kotter 8ステップとは、危機感醸成〜変革の定着までを8段階で示す組織変革の定番プロセス。 |
| 3 | 組織文化診断(OCAI) | OCAIとは、K. Cameron & R. Quinn提唱の組織文化診断ツール。氏族・革新・市場・階層の4文化タイプで評価する。 |
| 4 | GEマトリクス | GEマトリクスとは、業界魅力度×事業競争力で事業を9象限に分類する。PPMより多次元でGE・McKinseyが共同開発。 |
| 5 | RACI | RACIとは、Responsible・Accountable・Consulted・Informedで役割分担を可視化する枠組み。責任所在の明確化に使う。 |
| 6 | GROWモデル | GROWモデルとは、Goal・Reality・Options・Willの4段階でコーチング会話を構造化する手法。J. Whitmore提唱。 |
| 7 | Situational Leadership | Situational Leadershipとは、Hersey & Blanchardの状況対応型リーダーシップ論。指示・コーチ・支援・委任の4型。 |
| 8 | ADKAR | ADKARとは、Awareness・Desire・Knowledge・Ability・Reinforcementで個人の変革受容を段階化。Prosci開発。 |
| 9 | ジョブディスクリプション(JD)設計 | JDとは、職務内容・責任範囲・成果基準を明文化した書類。ジョブ型雇用の基盤フレーム。 |
| 10 | コンピテンシーモデル | コンピテンシーモデルとは、高業績者の行動特性を体系化した評価・育成の共通言語モデル。 |
使用例:「組織変革プロジェクトでは、まず7Sで現状診断し不整合を特定。Kotter 8ステップで変革ロードマップを設計し、個人レベルはADKARで受容度をモニターする。会議体はRACIで役割を明確化。」
組織系は「診断(7S・OCAI)→設計(GEマトリクス・JD)→実行(Kotter・ADKAR)→運営(RACI・GROW)」の4段階で組み合わせて使います。
マーケティング系10フレームワークは何か?
結論:マーケ系フレームワークとは、顧客理解・製品設計・流通・価格・プロモーションを扱う10種であり、Kotler・Christensenなどマーケ研究の巨人が体系化した枠組みである。
| # | フレーム | 定義と使用場面 |
|---|---|---|
| 1 | 4P/4C | 4PはProduct・Price・Place・Promotion、4CはCustomer value・Cost・Convenience・Communication。売り手/買い手の対比。 |
| 2 | AIDMA/AISAS | AIDMAはAttention→Interest→Desire→Memory→Action、AISASはSearch/Shareを加えたデジタル時代版。電通提唱。 |
| 3 | カスタマージャーニーマップ | カスタマージャーニーとは、顧客の認知〜購買〜継続までの体験を段階的に可視化する枠組み。CX設計の基本。 |
| 4 | ペルソナ | ペルソナとは、典型顧客を1人の人物像として具体化する手法。年齢・職業・ニーズを詳細に設定する。 |
| 5 | ジョブ理論 | ジョブ理論とは、Christensen提唱の「顧客は製品でなくジョブ(片付けたい用事)を雇う」という顧客理解の枠組み。 |
| 6 | RFM分析 | RFM分析とは、Recency・Frequency・Monetaryで顧客を分類する手法。既存顧客の優先順位付けに使う。 |
| 7 | ブランドピラミッド | ブランドピラミッドとは、機能価値・情緒価値・自己表現価値の3層でブランド価値を階層化する枠組み。 |
| 8 | 5A(Kotler) | 5Aとは、Kotlerが提唱したデジタル時代の購買プロセス。Aware・Appeal・Ask・Act・Advocateの5段階。 |
| 9 | フリクションレス | フリクションレスとは、購買体験の摩擦(フリクション)を最小化する設計思想。UXデザインの基本。 |
| 10 | ネットプロモータースコア(NPS) | NPSとは、Fred Reichheldが提唱した顧客推奨度指標。「他人に薦めるか」を11段階で測定する。 |
使用例:「新製品ローンチでは、まずジョブ理論で顧客のジョブを特定し、ペルソナ設計。カスタマージャーニーマップで購買動線を可視化し、5Aの各段階で必要な施策を4P/4Cで設計する。ローンチ後はNPSとRFMで顧客健全性をモニター。」
マーケ系は「顧客理解(ジョブ理論・ペルソナ)→動線設計(ジャーニー・5A)→施策(4P/4C)→評価(NPS・RFM)」の順序で組み合わせるのが実務標準です。
分析系10フレームワークをどう使い分けるか?
結論:分析系フレームワークとは、財務・業務・データを構造化して意思決定に接続する10種であり、KPIツリー・ROIC分解などマッキンゼーで発展した「数字で語る」ための道具である。
| # | フレーム | 定義と使用場面 |
|---|---|---|
| 1 | KPIツリー | KPIツリーとは、KGIを中間指標に段階的に分解する構造。「売上=顧客数×単価×頻度」など掛け算分解が基本。 |
| 2 | ROIC分解ツリー | ROIC分解とは、ROICを売上高利益率×投下資本回転率に分解し、さらに個別要因まで細分化する分析手法。 |
| 3 | デュポン分析 | デュポン分析とは、ROEを売上高利益率×総資産回転率×財務レバレッジに分解する古典。DuPont社開発。 |
| 4 | 損益分岐点分析 | 損益分岐点分析とは、固定費・変動費・売上高から利益ゼロ点を算出する分析手法。事業採算判断の基本。 |
| 5 | 感度分析 | 感度分析とは、パラメーターを変動させて結果への影響度を測る手法。「どの変数が結果を最も動かすか」の特定に使う。 |
| 6 | シナリオ分析 | シナリオ分析とは、楽観・基本・悲観など複数シナリオで将来を検証する枠組み。M&Aや大型投資判断で必須。 |
| 7 | パレート分析 | パレート分析とは、「80%の結果は20%の要因から生まれる」原理で要因を優先順位付けする手法。ABC分析とも。 |
| 8 | ファネル分析 | ファネル分析とは、顧客の各段階での歩留まりを可視化する手法。デジタルマーケの中核指標。 |
| 9 | コホート分析 | コホート分析とは、同時期に獲得した顧客群の時系列変化を追跡する手法。SaaS事業のLTV分析で必須。 |
| 10 | 論点ツリー(ロジックツリー) | 論点ツリーとは、大論点を階層的に分解して構造化する思考ツール。MECEを担保する基本フレーム。 |
使用例:「事業のROIC低下要因分析では、まずROIC分解ツリーで大論点を特定し、パレート分析で影響度上位の変数を絞り込む。次に感度分析で改善余地を試算し、シナリオ分析で施策の期待値を比較する。」
分析系は「構造化(KPIツリー・論点ツリー)→定量化(デュポン・損益分岐)→検証(感度・シナリオ)→精緻化(パレート・コホート)」の順で組み合わせます。
40フレームの使い分けの原則は何か?
結論:フレームワークは「イシューに答えるための道具」であり、選定原則は「①イシューを先に定義→②複数フレームを組み合わせ→③示唆を必ず言語化」の3ステップである。
主要4系統の使い分け早見表:
| 目的 | 推奨フレーム |
|---|---|
| 業界魅力度を測る | 5フォース、PEST |
| 自社の競争優位を評価する | VRIO、バリューチェーン |
| 事業ポートフォリオを整理する | PPM、GEマトリクス |
| 組織変革を設計する | 7S、Kotter 8ステップ |
| 顧客体験を可視化する | カスタマージャーニー、ペルソナ |
| 財務健全性を診断する | ROIC分解、デュポン |
| 論点を構造化する | 論点ツリー、MECE |
フレームワーク使用の3原則:
- イシュー先行の原則:フレームを埋めることが目的化しないよう、まず「何に答えたいか」を先に定義する
- 組み合わせの原則:単独フレームは実務では弱い。3C+5F+SWOTなど複数を組み合わせる
- 示唆抽出の原則:フレームの結果から必ず「So What(意思決定への示唆)」を言語化する
失敗パターンとして、フレーム自体を目的化する「フレームワーク中毒」があります。マッキンゼーOBの多くが「フレームは思考の補助線であり答えではない」と警告しています。
実務でどう適用するか?
結論:実務適用の合理的な経路は、①プロジェクト初期に3-5フレームを選定→②仮説の骨格を作る→③データで肉付け→④示唆を抽出、の4フェーズで進めることである。
実務適用の90日プロセス:
Week 1-2(プロジェクト立ち上げ)
- イシューを1文で言語化
- 論点ツリーで分解
- 使用予定フレーム3-5個を選定
- ワークプランに落とし込み
Week 3-6(分析実行)
- 選定フレームでデータ収集
- 3Cならインタビュー3-5件、5Fなら業界レポート3件を最低限
- 感度分析・シナリオ分析で数値の頑健性を検証
Week 7-10(示唆抽出)
- 各フレームの結果を統合表に整理
- クロスSWOTなどで示唆を導出
- 経営者への提言に翻訳
Week 11-12(合意形成)
- ステアコミでの合意
- 実行ロードマップ策定
- KPIツリーで進捗管理体制構築
現場で意識すべき3つのこと:
- フレームは「絵を描くための線」であり、独自の視点を捨てるものではない
- 経営者は「フレームの結果」ではなく「その先の判断材料」を欲している
- 分析3割、示唆4割、コミュニケーション3割の時間配分が実務の目安
ConStepでは、40フレームワークを実案件で使いこなす90日実践プログラムを提供しています。
FAQ(よくある質問)
Q1:重要フレームワークTop5は何ですか?
A1:優先度順に①3C分析②5フォース分析③SWOT分析④マッキンゼー7S⑤KPIツリーです。3Cと5Fで市場・業界の外側を、SWOTで自社を、7Sで組織を、KPIツリーで数字を扱えます。この5つで戦略プロジェクトの8割をカバーすることが期待できます。まずこの5フレームを完全習得することを推奨します。
Q2:3C・4P・5フォースの使い分けはどうすればいいですか?
A2:分析の粒度が異なります。5フォースは業界全体の魅力度を測るマクロ分析、3Cは業界内の自社ポジションを特定する中間分析、4Pは特定製品のマーケミックスを設計するミクロ分析です。実務では5F→3C→4Pの順に絞り込みます。この3層構造を理解すれば、レポート構成が論理的になります。
Q3:マッキンゼー7Sの実務活用はどうすればいいですか?
A3:組織診断ツールとして使います。7要素(Strategy・Structure・Systems・Shared Values・Skills・Style・Staff)の現状を評価し、要素間の不整合を特定します。特に「戦略と組織構造」「システムとスタッフのスキル」の不整合が典型的な組織課題です。M&A後のPMI、DX推進、成長ステージ移行時に威力を発揮します。
Q4:PPM/BCGマトリクスは古いフレームではありませんか?
A4:単独では時代遅れですが、GEマトリクスと組み合わせれば現役です。PPMの弱点は「市場成長率」と「相対シェア」の2軸のみで、事業間シナジーや長期性を評価できない点です。実務ではGEマトリクスで多次元評価し、PPMを補助線として使うのが2020年代の標準です。多角化企業の事業レビューでは今も有効なフレームです。
Q5:オリジナルフレームワークの作り方はありますか?
A5:あります。3ステップです。第一に、既存フレームの限界を経験する(PPMだけでは判断できない場面など)。第二に、複数フレームの要素を組み合わせる(3C×5F×時間軸など)。第三に、実案件で複数回試行し、有効な軸を残す。マッキンゼーの多くのフレームも実案件から生まれています。Ballistaも「業務×AI×実装」フレームを持ちます。
参考文献・出典
- 経済産業省「デジタルスキル標準(DSS)」(2024年改訂版)
- Michael E. Porter『Competitive Strategy』Free Press, 1980
- Philip Kotler『Marketing Management』Pearson, 15th edition
- Thomas Peters & Robert Waterman『In Search of Excellence』Harper, 1982(7Sの原典)
- John P. Kotter『Leading Change』Harvard Business Review Press, 1996
- Clayton M. Christensen『Competing Against Luck』HarperBusiness, 2016(ジョブ理論)
- W. Chan Kim & Renée Mauborgne『Blue Ocean Strategy』HBS Press, 2005
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この記事を書いた著者
Ballista Inc. 編集部
監修:中川貴登(Ballista代表取締役)
コンサルティングファーム・IT企業の育成体系構築の実務経験を元に執筆。
ConStepについて
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